【書評】誰の喜びになるのかな?『その仕事、全部やめてみよ

 日々忙しく真面目に働くみなさん。貴方には、2つの選択肢があります。
「仕事を放り出してバカンスに行き、ワインを飲む」か「仕事を放り出してバカンスに行き、ビールを飲む」

 これは著者が、仕事が立て込んでテンパっていた時に上司から提案されたシリコンバレー流の仕事術です。本書では、具体的な事例も含めて、無駄な仕事・思考とは何かを解説し、強みを生かしてお客様に喜ばれる「本当に必要な仕事」に関して述べています。

 

 では、無駄な仕事とは何でしょうか。
本書によれば、「お客さんの”喜び”につながらない仕事」です。

 

例えば、以下のようなものに無駄な仕事が潜んでいます。 

 

 ・繰り返し実施される仕事
 ・前任者から、そのまま引き継いだ仕事
 ・新しいツール(道具)を使う事が目的の仕事
 ・短所(谷)を埋める仕事

 特に、仕事しているとライバルに劣っている箇所は目立つので、修正したくなりますよね。でも、ちょっと待ってください。本当に短所(谷)が減れば、お客さんは喜ぶのでしょうか?

 

 例えば、フェラーリトヨタのように燃費が良く、静かな車になったら買う人は増えるでしょうか。ついつい忙しいと忘れてしまう視点ですが、とても重要なことです。

 

 それでは、お客さんの”喜び”は何から生まれるのでしょうか。著者は、「自社製品の長所であり、ユニークな価値」、これを別の言い方で「山」と表現しています。
     これはお客様に提供するものがサービスであっても同じです。そして、この山が大きく高ければ高いほど、お客様が他のモノとの違いを理解しやすく、選ばれやすくなります。
そのためには組織は、色々な強み(山)を持った人が融合したチームの方が、色々な問題は起きやすくなりますが、「山」を高くできます。このようなチームは「猛獣園」と著者は言っていますが、このチーム作り方や運営方法も本書を読めば理解できます。
評者が「猛獣園」に入ったら、アルマジロになって丸まってしまうと思います...

 

 本書は、「この仕事、意味があるのかな?」と悩みながら仕事をしている方にお薦めします!   また著者は、ベンチャーと大企業、日本企業と外資、ITエンジニアから執行役員と、色々な場面や職場で活躍しており、
全てのケースに共通して有用な内容となっています。

 

 「お客様の”喜び”につながるのか?」という基準で組織の仕事を見直せば、無駄が減り、強み(山)を育てる時間ができます。これは個人も同じです。無駄な時間を削減して、その時間を自分の能力の弱み(谷)を埋めるのではなく、強み(山)を育てるために投資する。そして、尖った強みを持った個人がチームになることで、さらにお客様に喜んでもらえる特徴ある製品やサービスが生まれます。

 

 まずは、自分の強みに時間を使い、山を高くするために、無駄を削減するところから始めませんか。

【書評】属人化の檻を壊して!一人5000円で変われる。『売上が上がるバックオフィス最適化マップ

 

みなさんの組織では、「今、担当者が不在なので折り返し連絡させて頂きます。_(._.)_ペコリ」ということはありませんか。本書を読めば、会社全体の業務フローを俯瞰し、バックオフィスの業務を最適化する道筋が理解できます。

全体最適化は、以下の3段階で達成できます。

1.まず「従業員」「顧客」という2つの軸で業務フローを整理する。

 ①「従業員(採用、労務、給与 等)軸」
 ②「顧客(名刺管理、Webマーケティング、販売管理、見込み客リスト等)軸」

2.次に、①②にかかる情報で会計システムへの連携が必要なデータを選別し、どこまでシームレスにつながれるのか確認する。

3.最後に、1、2を達成するために必要なITツールを各業務に導入して業務全体の効率化を実現します。

この全体像を理解すれば、中小企業でも一人5000円で、大企業の基幹業務システム(数億円)と同等レベルのことが達成可能です!評者は大企業に勤めているけど、数千円でできるのか...マズイ。

とはいえ、「専門的な知識もないし、うちの会社の中の人たちで実現するの難しくない?」と思う方。そんな時は本書に出てくる「IT顧問化協会(eCIO)」に相談だ! IT活用・デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を望む企業に対して中立的な立場で的確な支援ができる組織です。

さて、本書はITやデジタルが仕事に侵入してくるのが怖い方、ITツールを使って全体最適で業務改善したい方におススメです。特に、中小企業でデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する方は必読です!

評者は、「つなげる(システム)ー つながる(コミュニケーション)- 使える(みんなが仕事で便利)」が属人化を打破するポイントであり、これを安価で達成できるのがデジタル化の一番のメリットだと考えます。そして、いずれ誰もがITツールを鉛筆のように使って仕事をする時代になります。その時、自分だけがツール(道具)を使えないことを想像してみてください。今ならまだ、余裕で間に合います! まずは、本書を読むところから始めてみませんか?

【書評】 知ってますか?出世のルールは2度変わりますよ

知ってますか?出世のルールは2度変わりますよ。『出世する人は人事評価を気にしない』

みなさん、会社や組織で働いていたら「何であの人が上司なんだろう?」と思うことはありませんか。それは、みなさんと上司で組織内での評価基準が違うからかもしれません。この本を読めば、出世と評価基準の関係(出世のルール)が簡単に理解できます。そして、なぜ?「出世する人は人事評価を気にしない」のか分かります。

一般社員は卒業基準。求められている業務を理解して「早く、正確に、沢山」取り組む。管理職は入学基準。1つ、2つ上の役職なら、どのように判断、行動するか常に考えて取り組む。経営職は視点を高く、全体最適で考え、自分自身で判断して取り組む。つながる力と質問力が重要。このように説明されており、出世のルールが2度変わることが理解できて勉強になった。

また、"子会社に飛ばされた同期が上司になった日"という衝撃的な見出しで始まる小説パートがあります。営業部所属で上司の言う事は絶対服従。運動部出身で24時間戦えます!という課長の金剛。自称同期ナンバーワンで成果を出ているが、実は取締役からは時期部長にはふさわしくと判断されていることを上司から告げられる。そこから金剛は、どのように変わるのか?。自分と重ね合わせて楽しめる。

組織の評価やキャリアに関して悩んでいる方は必読。私も3年に1回くらいの頻度で読み返してます。

【サイト】
https://www.amazon.co.jp/dp/4532262658/ref=cm_sw_r_cp_apa_i_E5l.Eb5Q7ZGCF